昭和30年代後半、むつ湾でホタテ貝の採苗に成功したことでホタテ養殖が急速に普及しました。
当社は、昭和40年頃からホタテ養殖篭の生産を始め、現在は海外工場を生産拠点として実績を上げています。
ホタテ養殖篭には、四角錘型(通称稚貝篭)、円柱型(通称丸篭)、のれん型(通称ポケット篭)などがあります。
当社は長年の経験とアイデアにより、それぞれの海域に適合した養殖篭を作るための研究、改良を続け、その過程で特許や実用新案を取得してきました。
稚貝篭(ちがいかご)
網地、枠、ロープを主要部品として構成されています。
主に採苗後のまだ小さな貝を収容する篭で、網目の大きさは1分(3mm)~4分(12mm)のラッセル網や2.5分(7.5mm)~5分(15mm)の蛙又網を使用しています。
特徴:この2種類の篭は貝の出し入れ時に開口部の糸抜きと糸縫いの必要がないため作業時間の短縮、経費削減に貢献しています。
枠・ロープ・開口部形状の組み合わせで何通りでもできるので、漁業者の要望から様々な製品を作ります。(付着物対策や盗難防止など目的は様々)
部材について
1.網地
- 独自の配合により養殖篭に最適なポリエチレン糸を製造
- 自社編網機で網地を製造
- 自動カット機による熱カット~ミシン掛け
これらのすべての工程で厳格な検査が行われ組み立て工程へ送られます。
網目の大きさ、糸の太さ、色、網地幅など様々なご要望にお応えできます。(特注品の場合は最低注文数がありますのでご相談ください)
2.枠
- 指定規格品(太さ、硬さなどを原料含有比率で指定)の鉄線を使用
- 指定規格品(色、耐光性グレードなど)のPVCを使用
- 鉄線に溶解PVCを被覆
- 指定の長さでカット~端末を液体PVCで被覆~曲げ作業→枠完成
角枠は1辺35㎝の四角型の角枠が主流品です。当社使用の鉄線の太さは、#12(2.7mm)、#11(2.9mm)、#10(3.1mm)、#9.5(3.2mm)、#8(4.0mm)、#6(5.0mm)、#5(5.5mm)となっています。被覆色は青、紺、緑、黄、ピンク、黒などがあります。(実績例)
3.ロープ
自社製造のポリエチレン糸を自社製綱機で製造。自動カット機により指定の長さにカット、品質チェックを経て組み立てへ。
篭の部材として使用する以外に耳吊り養殖用のロープや吊りロープ(手棒)にも適しています。また、様々な色の組み合わせも可能です。(特注品は最低注文数があるのでご相談下さい)
部材の改良
角枠(かくわく)
稚貝篭の主要部材である角枠はPVC被覆鉄線を使用しています。外枠と二本の張で構成されていますが、ズレによる被覆剥がれや端末からの海水の侵入による破損が問題となっていました。
そこで、以下のような様々な工夫・改良を重ねてきました。
改良1.端末をPVCで覆い海水の浸入を完全にカットして防錆します
改良2.張の曲げ部分の出っ張りがなくなり網地磨耗を防止できます
改良3.外枠引掛け部のズレによる被覆剥がれを防止します(防錆効果)
改良4.張、枠に引掛け部分がないため被覆はがれや海水の影響を受けず長期間使用できます
網地
組立時、網地と枠のズレを無くすために、①網中心部に印を付け②3本のラインを入れて枠とのズレを防止します。
丸篭(まるかご)
この篭は貝収納部が連なっており(連段)、貝の出し入れに時間がかからないため短時間に大量処理できます。また大型貝の収納にも適していることから稚貝篭からの間引き用としての使用方法もあります。
直径はご要望に応じて様々なものができます。(38cm、40cm、45cm、50cmなど)
作業時間短縮のため開口部を工夫したり、篭の変形を軽減するための工夫をしていますが、いずれも「安価にできてビックリするほど効果を発揮できる」、言わば手品のタネ明かし的なものを目指しています。
ポケット篭
この篭は主に活貝のような大型貝の養殖に適しています。
貝は各段のポケットに収容されるため、貝同士がぶつかって破損するなどのリスクが少なく、篭の形状が暖簾のような形のため、潮流の速い外海に適しています。
海中設置図
ゴムロープ
海中施設を浮かせるため浮き球を付けますが、その下に下がっているホタテは海面の波の影響を受け上下動するため生育が悪くなります。そこでゴムロープを使いショックを吸収します。
採苗袋
放卵が始まる春先、海中に垂下しホタテの幼生(ラーバ)を採取します。
丸チョーチン(選別袋)
ラーバが成長し稚貝になると稚貝篭に分散しますが、その際、大きさを選別するために使います。
関連機械
その他ホタテ貝選別機、篭洗い機等ございます。詳しくは当社へお問い合わせください。
その他の養殖方法
地まき養殖 ・・・ 中間育成(約1年)後に海底に貝を撒き、数年後に海底から採取します
耳吊り養殖 ・・・ 貝に穴をあけテグスや専用ピンで吊るします
それぞれに長所・短所があり各地域に適した養殖方法を選択しています。